2025年9月、SNS上で衝撃的なニュースが拡散され、野球関係者の間で話題になったのが、
ボーイズリーグのチームは、ボーイズリーグを脱退したチームとの試合を禁止するというものでした。
最初は、内容的に悪質なデマかと思いましたが、正式に日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)が通達した内容でした。
ボーイズリーグを脱退したチームとの交流禁止
ボーイズリーグに加盟しているチームは、今後、ボーイズリーグを脱退し他リーグに加盟したチームとの交流を禁止するということです。
脱退しても他リーグに加盟していなければ大丈夫
ボーイズリーグを脱退したチームが無所属で他リーグに加盟に加盟していない場合は該当しない。
そのチームとの交流は可能ということでしょう。
交流禁止
通達文には、「交流禁止(練習試合・他リーグとの交流試合)を禁止する」と書かれています。
交流とは、基本的に試合をすることだと考えられますが、合同練習なども含まれると推測できます。
また、参加した大会に該当チームがたまたま参加していて対戦しなければならない場合は、(仕方ないので)大丈夫ととらえられます。
交流禁止の理由は、ボーイズリーグの規約に従えないため
ボーイズリーグを脱退して他リーグに加盟したチームは、ボーイズリーグの規約に従えなく他リーグに移籍したということなので、ボーイズリーグに所属するチーム(=ボーイズリーグの規約に従えるチーム)は、脱退して他リーグに移籍したチーム(=ボーイズリーグの規約に従えないチーム)との交流はする必要がないという根拠のようです。
脱退しても他リーグに加盟していなければ問題なし
ボーイズリーグを脱退しても、他リーグに加盟していないチームは、ボーイズリーグの規約に従えないチームとはみなされないようです。
他リーグとは
ボーイズリーグは、中学生を中心とする硬式野球チームの団体ですので、他リーグとは基本的に中学硬式野球チームのリーグということだと考えられます。
ボーイズリーグ以外の中学硬式野球の団体
- リトルシニア(日本リトルシニア中学硬式野球協会)
- ポニーリーグ(日本ポニーベースボール協会)
- ヤングリーグ(全日本少年硬式野球連盟)
- フレッシュリーグ(九州硬式少年野球協会)
通達以前の脱退にも適用?
ボーイズリーグに限らず、既存の中学硬式野球チームが所属していたリーグを脱退して他のリーグに移籍することはあります。そのような中で、ボーイズリーグは流出を防ぐために、このような通達を出して手を打ったと思われます。
ただし、「脱退して他リーグに加盟した」という文言が、通達以前に遡るのか通達以降に適用なのかは不明です。
ポニーリーグへの移籍が増加
ここ数年、中学硬式野球ではポニーリーグのチーム数が急激に増えており、また、別リーグからポニーリーグへの移籍も増加しています。
ポニーリーグへの加盟が増えている理由
ポニーリーグ以外のリーグのチーム数が減っている傾向の中で、なぜ、ポニーリーグは年々チーム数を増やしているのでしょうか。
1チームから複数チームが大会にチーム登録できるから
ポニーリーグの各種大会には、1チームから複数のチームを編成して出場することが認められています。選手数の多いチームでは、なかなか試合の出場経験に恵まれないということがありますが、複数チームで出場すれば、全員がベンチ入りして試合に出場する機会が高まります。1チームのレギュラーが9人ではなく、複数チーム分のレギュラーメンバーが存在することにもなり、もちろんレギュラー争いも複数分生じることになるので、全員が切磋琢磨して頑張ることが可能になります。
大会がリーグ戦であるから
ポニーリーグ以外のリーグの大会は、トーナメント制が基本です。しかし、ポニーリーグは予選リーグが採用されていて、総当たりのリーグ戦となっています。負けたら終わり=公式戦終了ではなく、予選リーグの間に数試合の試合が行われます。負けても終わりではなく、勝敗数や得失点差などで最後まで決勝トーナメントに勝ち上がれるチャンスが残されているので、常にモチベーションを高めながら試合に臨めます。当然、試合数が多いということは、それだけ選手全員が試合出場のチャンスが増えることにもなります。
リエントリー制を採用しているから
ポニーリーグでは、スタメンに限り、一度ベンチに下がっても、もう一度、試合に復帰できるリエントリー制度が採用されています。レギュラーであるスタメンをベンチに下げるのは試合展開の中で難しいですし、たいていはレギュラーだけで試合を戦い抜くことが一般的です。しかし、リエントリー制度があると、場面によっては代打を送ったり、代走を出したり、守り抜かなければならない場面で守備固めで守備を交代しても、その後でスタメンに戻すことも可能となります。その分、適宜、スタメン以外の選手も試合に出場する機会に恵まれやすくなります。
他にも様々な改革が行われています
- 投手の球数制限が他リーグよりも早く採用
- 試合での投手と捕手の兼用不可
- 大会によっては、木製バットのみを使用
野球界をより良くしていくために
野球界には限らないことですが、野球界でも古くからの練習方法・指導方法・慣習を良しとして行われていることが多々あります。昭和の指導として揶揄されることも多いですが、一方で新しい取り組み・練習方法・指導方法を柔軟にとりいれるチームや組織もかなり増えてきています。
野球人口の減少が問題視されている中、やはり、このような古い体質の残存が野球離れの一因である部分も大きいと考えられます。
今後の課題として、いかに開けた野球界にしていくかが野球人口の減少を食い止める策だと考えられます。そういう意味では、規約を守れないから出ていったチームとの交流は禁止するという考えは時代の逆流だと考えられます。出て行かれるということは、他に魅力的なものがあるということの現われでもあるので、締め出すのではなく、そこからの反省を基により良い制度へと改革をしていくことが野球界全体のメリットにつながると考えられます。
