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飛ばないと言われる高校野球新基準の低反発バットの実際のところ

野球道具について

2024年の春から高校野球で使用できるバットが新基準の低反発バットに変わりました。2023年の秋季大会終了以降、各都道府県高野連から各高校に新基準バットが配布され、また選手個人でも新たに新基準バットを購入して、新基準バットでの練習も開始されています。

大きなポイントは低反発バットになり飛距離が落ちるということでしたが、実際のところ、どのような問題点や改善点が起こったり始まったりしているのでしょうか。

低反発バットになり、確実に飛距離は落ちている

新基準バットは金属の厚みを厚くすることにより反発力を低くしています。その分、5メートルから10メートル程、飛距離が落ちていると言われています。2023年の秋季大会終了以降、各高校は新基準バットを使用した練習を開始していますが、大半の声が明らかに飛距離が落ちているという意見です。

一方で、真芯で捉えた打球は今まで通りの飛距離と変わらないくらい飛んでいるという声もあります。

言い換えれば、真芯で打てば飛ぶが、逆に言えば飛距離の出るスイートスポットは狭くなっているということ。真芯で打たない限り、間違いなく飛ばないバットになっているということです。

また、このように新基準バットでの飛距離のデータを測定しているのは、強豪校の選手であったり、高卒以上のある程度、野球の技術を持った選手や元選手である場合結果であり、技術がある選手が真芯で打てば飛ぶと言っているに過ぎません。大多数の平均レベル前後の高校生が使用した場合は、明らかにこれらのデータよりは落ちるのは間違いありません。ですから、ほんの一部の技術のある選手なら飛距離の落ちは少ないかもしれませんが、ほとんどの選手は確実に飛距離は落ちるといえるでしょう。

予想以上に細く感じる

実際に新基準バットでのバッティングをした時に、飛距離の落ち以上に、まず感じる第一印象はバットの細さです。見た瞬間、手に持った瞬間に、「細っ!」と感じます。わずか3mmですが、数字以上に細く感じます。そして、感じる以上に、実際に打ってみると3mmの差以上にバットに当てるのが難しく感じます。

今までのバットは3mm太いだけでボールにバットを当てやすかったと言えますし、高反発な性能を持っていたので、多少の当たり損ねでもバットの性能で内野の間を抜けたり、内野の頭を超えたり、外野を抜けたりしていましたが、たった3mm細くなったことで当たりづらくなり当たっても低反発性能ゆえに内野ゴロ、内野ライナーといった当たりになってしまいます

また、細く感じる心理状態もバッターとしてのバッティング心理に大きな影響を与えると考えられます。

試合での安打数の減少

低反発バット導入の目的は投手の投球数抑制と野手の怪我を防ぐこと。安打が減る分、アウトカウントが増えやすく投手の投球数は自然に減ります。また、打球の速度が落ちるので野手の打球処理もしやすくなり怪我のリスクが減らせます。

このように、安打数の少ない締まった試合展開が増えると考えられます。これからの試合戦術としては、攻撃面ではいかに少ない安打数の中で機動力などを活かしてわずかな得点を取るか、守備面ではエラーを無くして確実に守り抜くかということを考えた野球が求められるようになるでしょう。

試合時間の短縮化が確実

低反発バットになり飛距離が落ち、安打数が減ることにより攻撃時間が短縮される傾向が高まります。ひいては、試合全体の時間短縮に繋がると言えるでしょう。

また、昨今問題化している熱中症問題においても、特にイニング毎の守備時間の短縮になりますし、1試合の試合時間も短くなると選手の負担も減ります。さらには、一日における試合数の消化も増やすことが出来たり、あるいは夏の気温の高い時間を避けて試合を組むこともしやすくなるかもしれません。そして、選手だけでなく応援に来る生徒や観客の負担も軽減できるといえるでしょう。

長い目で見れば野球技術向上に繋がる

今までのバットと比較をするから飛ばなくなったと言われますが、逆に言えば、今までのバットが選手の技術以上に飛び過ぎていた、選手の能力以上の性能を持っていたといえます。低反発バットになったことにより、選手なりの技術通りのバッティングができるようになったといえ、これが本来の野球といえるでしょう。飛ばないバットだからこそ、飛ぶように真芯で捉える技術を身に付ける、少しでも遠くへ飛ばせるように素振りなどの練習を反復してスイングスピードを速くするなど、正しい技術を身に付ける絶好のチャンスといえるでしょう

将来的に、高校野球だけで野球人生と終えるのではなく、大学野球・社会人野球・独立リーグ・プロ野球を目指すのならば、なおさら道具の性能に頼らずに正しい技術の習得が重要になってきます。

現役の高校生は、この半年や一年間で新基準バットでの結果を出さないといけないかもしれませんが、長い目で見た場合、先に繋がることになるでしょう。また、中学生以下の野球少年も高校野球を見据えて、高性能バットに頼らないバッティング技術を身に付ける練習をしいておくべきといえます。

その結果、野球技術の底上げが進み、近い将来、今以上の技術を持った野球選手がたくさん出現するようになれば、日本の野球界にとっては良いことだといえるでしょう

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